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洗い出し工法について

十川日本庭園研究室です。
今回は、茶室周りの洗い出し工法を紹介します。元来、中国から渡った石灰を使う漆喰(しっくい)が元になっているようで、今でもタタキと呼ばれる工法が広く親しみを持たれています。


私の実家のお勝手もそうでしたが、地方では近年まで土間タタキがありました。今回の工法はニガリを加えずにセメントを使用するので、本来のタタキとは異なりますが、仕上がりが美しく、清掃が容易であり、汚れにくいという利点があります。


また、洗い出しは天候や湿気に左右されやすいので、施工のスピードが要求されます。施工は学生時代から付き合いのある、左官職人にお手伝いをお願いしました。


材料は、グリ石・砕石・白セメント・カサマスナ・色粉です。セメントと砂の割合は1対3ですが十年前の作業ですので今後変わると思いますのでご了承ください。本質的には、長く持たせるようですが、今回は十年から二十年後に作り直すことを考慮しました。皆様の今後の作業の参考になれば幸いです。

施工前準備

材料のグリ石・砕石です

建物を汚さないように養生テープを張り、既存のタタキを解体します。

洗い出しのヘリが下がらないようにグリ石を入れランマで輾圧(てんあつ)します。

下がった飛石(とびいし)を修正します。

砕石を打ち、型枠を取り付けます。

ワイヤーメッシュを入れ、塵穴(ちりあな)部分に塩ビ管を取り付けます。後程、塩ビ管は外します。

覗石(のぞきいし)と塵穴の下地

洗い出し

白セメントと色粉を混ぜます。色粉は画材屋さんで購入したものです。

差石(さしいし)と飛石を汚さないように塗り込みます。

曲がりの無い板や垂木(たるき)を当てて勾配を確認します。

石を汚さないことが重要です。

差石や飛石の際を丁寧に洗い、鏝(こて)で押さえます。

鏝で押さえながら、上がってきたノロや灰汁(あく)をスポンジで吸い取ります。

塵穴周りを丁寧に仕上げます。

洗い出し直後です。

仕上げ・完成

袖垣(そでがき)を施工します。

タマリュウを植え替えます。

完成

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代表・作庭家紹介

十川日本庭園研究室 十川洋明

十川 洋明(トカワ ヨウメイ)

17歳で庭の世界へ飛び込み、その素晴らしさに魅了されました。造園会社数社で修行を積み、1996年に「作庭処 彌右エ門」(現 十川日本庭園研究室)として独立。以来、個人邸の作庭工事を手がけながら、古庭園に興味を持ち京都を初め全国の庭園を見てまわり研鑽を積んでいます。千葉県山武市在住。

 

<主な経歴>
1998年 重森三玲記念館庭園施工
1999年 靖國神社神池整備工事参加
2001年 靖國神社苑内常駐管理責任者
2004年 中国蘇州市に日本庭園施工

 

通常業務以外に日本庭園の古式工法の検証及び技術指導・講演も行っております。詳しく公開されることがなかった技術を、様々な方々にご提供できればと考えております。ご質問・ご相談等、お気軽にメールにてお問合せください。

 

プロフィール詳細

 

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