日本庭園(枯山水・石庭)の作り方 その1
目次
①蓬莱神仙思想
十川日本庭園研究室です。
今回より自邸の日本庭園「三六九庭(みろくてい)」の施工についてご紹介をさせていただきます。広さは9坪と大きな庭ではございませんが、日本庭園の様々な要素と古式工法を主体とした当研究室の技術を折り込んでいます。三六九庭は辰巳(南東)の方角に三六九という数で構成した蓬莱神仙の世界観を山水画的枯山水(さんすいがてきかれさんすい)で表現したもので、下記の三島で構成されています。
今回は主石のある「蓬莱島」からご紹介し、その後、数回に分けて石組みや水回り、そして竹垣等を紹介させていただきます。数々の古庭園から学んだ石組造形と、普段では見えない地面下のカマセ石の構造説明に力を入れましたので、皆様の今後の庭づくりの参考になれば幸いです。危険を顧みず挑戦しましょう。その先に何かがあります。
三六九庭については過去にご紹介をさせていただいております。下記リンクよりご参照ください。
②作庭デザイン計画
今回、デザインにあたり下記の3点を重視しました。
【庭園デザイン計画】
●施工後の管理内容を重視します。地元のコケを生やすことで草が生えづらく、風で落ち葉などが、すべて外に出る構造とします。
●樹木や花を中心とした季節の変化ではなく、竹垣のデザインを頻繁に変えることで庭の雰囲気に変化をもたせます。
●石組を中心に、水琴窟を設け音の変化を楽しみます。また、水琴窟はカメ内の反響音だけでなく、外部への排水音で川のせせらぎを感じさせる構造にします。皆で構想を練ります。大切なのは自宅なので他人の目を気にしないことです。
③事前準備
既存樹木を撤去します。
庭石を運搬します。
庭石の搬入。下の地盤が弱いときは、鉄板またはコンパネを敷きコロをはかせます。ソリを使うとスムーズに行きます。吊り上げながら梃子(てこ)の原理で移動します。
④蓬莱島の石組み
主石(しゅせき)を立込みます。
吊り直しは下部に大きめのカマセ石を据えつけ、倒れないように丸太や角材で支えます。カマセ石は御影石(みかげいし)等の花崗岩(かこうがん)が適します。また、砕石(さいせき)を使うと更に強度が増します。
ワイヤーが動かないときは丸太や角材を挟み込み、蛇口(へびぐち)を調整します。
立込み後にカマセ石を打ち込みますが、ワイヤーが抜けるように注意します。
添石(そえいし)にもカマセ石を打ち込みます。
主石の良さを損なわないように両側の添石で支えます。重要なのはカマセ石の打つ場所、角度および打ち込み加減です。
右後方に石を立てます。
左後方にも石を立てます。
裏にカマセ石を打ち込みます。
手前の石にもたれかけさせ、カマセ石で繋ぎます。繋ぎは強く打つと石が離れるので注意。
手前中央に斜立石(しゃりっせき)を据え付けます。
石どうしを組み合わせた下の構造です。石は組むことで強度を上げますので、基本的に土中に埋めないことが重要です。写真をよくご覧になってください。
土を埋め戻した状態です。
石を洗い、隙間にたっぷり水を入れます。水を回すとお互いがかみ合い強度が上がります。
更に後方に立石を据え付けます
極長立石(ごくちょうりっせき)は縦にカマセ石を打ち込みます。
地盤下の見えない部分で全て石は繋がります。
単立立石(たんりつりっせき)を据え付けます。一度吊り上げ、下に角材を入れてワイヤーを掛けなおします。
次回の投稿「日本庭園(枯山水・石庭)の作り方 その2」へ続きます。
続きは以下のリンクからもご覧いただけます。
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