①はじめに
十川日本庭園研究室です。
今回は「竹藪をキレイにしよう計画」の「竹垣づくりのコツ」の3回目で、柱の立て方と加工の仕方について紹介いたします。
「竹垣づくりのコツ」その1、その2は下記のリンクよりご覧ください。
2020.03.04竹垣は、いかに技術が優れていても、竹が汚れていては見栄えが今一つ。逆に竹がきれいでも曲がりやゆがみが目立つとよく見えません。従って、如何に竹をきれいに洗うか、どこにどの材料を使うかで良し悪しが決まります。ここでは、基本的な事柄をいくつかあげますが、大切なのは毎回工法を変えることです。...
2020.03.15今回は「竹垣作りのコツ」の2回目です。竹の選び方、竹を割る押縁(おしぶち)や割竹(わりだけ)を中心に話をすすめます。とにかく「習うより慣れろ」です。皆様からのご要望により内容を更新いたしました。(2021年3月)竹を切る時期は、水を上げない11月から1月までとされています。...
竹垣の柱の立て方は様々ですが、基本的に親柱と間柱で構成されます。現在でも、茶室や料亭周り等では、栗の皮つきやなぐり柱を使用することがありますが、見ていて気持ちが良いものです。当研究室では、柱や竹を長持ちさせるのではなく、「竹藪をキレイにしよう」という計画の一環として説明をしていますので、業者さんによっては物足りないかもしれませんが、ご了承ください。
大切なのは、お茶会などで来訪者が着物を汚したり傷付けないように、製作時に柱にヤスリがけをする等、使用者の立場に立って配慮することだと思います。一期一会と思い、その日のために足袋を新調したり、着物を仕立てた方のことを思いますと、いい加減な仕事は出来ませんよね。
また、建仁寺垣のような遮蔽垣(しゃへいがき)は問題ありませんが、四ツ目垣などは竹の太さや間隔によって善し悪しが左右されますので、柱を立ててから割間を計算するのではなく、予め胴縁と立子の寸法を決めてから立込みます。
旋盤(せんばん)がけした柱の上下の見分け方は、小口(こぐち)の赤みが多いほうが下です。焼き丸太のように小口が見えない場合は中央を吊り上げて重いほうが下です。
それでは基本的な工法に入ります。
②柱の天端の切り方
柱の立込みは、垣根が高く長い場合は、高さ調整に手間がかかるので、長めに立てて後で切ります。私自身、慣れない頃はレーザーレベルをあてるか、水平器で印をしていました。また、ノコギリは刃の柔らかく幅の狭いものを使用することで、途中で曲がったときに修正できます。曲がった時、白木の場合は面取りをしてぼかします。焼き丸太の場合は、ガストーチやバーナーで天端を焼き、高い方を削ると真っ直ぐになります。
柱の天端は、目の高さで切ります。
- 目の高さで切る
③四ツ目垣の例
四ツ目垣は向こうが透けて見える透かし垣なので、正面から見て真っ直ぐになるように立込みます。ただし、見る角度によって変わることがあるので注意が必要です。地面に穴を深く掘りすぎると、後で下がることがあるので少し高めに入れ、最後に木ヅチで天端をたたいて、微調整します。また、埋め戻しに砂利や、砕石を入れると強度が増します。
ダブルスコップで穴を掘ります。
砂利を入れてよく突きます。
間柱は、スケールで測り正確に穴を掘り立込みます。
参考
2020.03.04十川日本庭園研究室です。今回は四つ目垣の工法について簡潔にまとめましたので、ご参考にされてください。写真をよく見ていただくと説明にはないポイントもございます。質問等はメールにて受け付けております。...
④建仁寺垣の例
細い押縁は問題ありませんが、太竹を使う場合は、小口が見えないよう、なるべく親柱は太い柱を使い、胴縁または垂木は裏側に取り付けます。両面の場合や、太い柱が使えない場合は押縁を薄く加工します。
親柱の裏に垂木を止めます。
間柱前のつなぎ部分
両面でホゾ穴を切った例。先ず、ドリルで穴を開けてからノミで加工します。
参考
2020.03.04
今回は前回の四ツ目垣に続きまして、建仁寺垣(片面)の製作手順についてご紹介いたします。簡易な形ですが、いかに押縁を真っ直ぐ見せるかがポイントです。連日、多くの方に閲覧していただきましたので内容を増やしました。今後、皆様の作業の参考になれば幸いです。
①基本骨格の構成
地盤を測...
⑤御簾垣の例
押縁で小口を隠す場合は問題ありませんが、ここではミゾの切り方を紹介します。垂木で仮止めして押さえ、丸ノコで切込みを入れます。
平ノミでミゾを切ります。
直角部分の例
参考
2020.03.15竹垣の作り方については過去に四ツ目垣、建仁寺垣とご紹介させていただきましたが、本日は「御簾垣」の作り方についてご紹介いたします。四ツ目垣、建仁寺垣については下記リンクよりご覧ください。
御簾垣は、構造がシンプルなので材料の良し悪しや技術が問われる垣根です。「竹垣作りのコツ その1」でも...
ご参考になれば幸いです。
その他、竹垣の実践的且つ具体的な工法については下記よりご覧ください。
大津垣
2020.05.04十川日本庭園研究室です。本日は大津垣の紹介です。
大津垣は竹を割る手間がかかりますが、建仁寺垣に比べて材料の善し悪しがわかりづらい垣根です。今回は、一枚、二枚、三枚と横張り、縦張りのデザインですので、好みが分かれることと思います。寸法は、一マス1,700mmの正方形です。それでは、工法を紹...
2020.04.25十川日本庭園研究室です。
今回は車止め(大津垣)の作り方を紹介します。初心者にも分かり易く、写真を多く掲載しました。この大きさであれば、トラックが無くとも乗用車で材料を運ぶことができます。更に、ベースとなる木枠を防腐剤で長持ちさせ、竹を頻繁に交換することでいつもきれいに見えます。...
桂垣
2020.06.12今回は桂垣の紹介です。裏側が建仁寺垣の基本的な事柄なので、ご存じの方も多いかと思います。桂穂垣の工法も様々で、裏のアンコと呼ばれる穂を縦にする方法や、穂の揃え方に個人的な好みがありますが、今回は一般的な工法をご紹介いたします。桂穂垣は、工法は複雑ですが四ツ目垣や建仁寺垣のようなシンプルな垣...
創作垣
2020.04.17十川日本庭園研究室です。今回は、お施主様からご要望のありました、山と月をイメージした創作垣をご紹介します。竹は、全て1月中に田んぼから遠い、山上から切り出したものです。竹を切る時期は、地域とその年によって変わりますのでご注意ください。また、買ったものではありませんから、好きなだけ良い材料が...
筧(かけひ)
2020.04.08今回は、筧の作り方です。筧は一般に、手水鉢に水を注ぎ込む装置です。駒頭(コマガシラ)を付けるタイプなど様々ですが、ここでは横樋(ヨコトイ)のそぎ落としを紹介します。竹細工の練習には、とても役立ちますので皆さんも試してみてください。
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枝折戸(しおりど)
2020.04.10今回はやや高度な枝折戸の作り方です。枝折戸とは露地の中門につける一種の扉で、庭の形態によって左右の開き方が異なります。近年、海外製品が大量生産・輸入されていますので、枝折戸を編む機会も減りました。茶道では、本質的なもてなしとして、お客様に対して青竹に勝る竹細工はありませんので、ぜひ皆様も挑...
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