用語集:蓬莱神仙思想 タップ又はクリックすると説明が読めます。
蓬莱島・蓬莱山ともいう。中国の神仙思想で、方丈・瀛洲とともに三神仙島とされた。東海のなかにあって神仙が住み、不老不死の地と考えられた仮想の海島で、巨大な亀の背中に載った島との解釈もあった。
中国では、紀元前2世紀に前漢の武帝が太液池に蓬莱をはじめとした神仙島を築いたことが『漢書』に見え、さらに6~7世紀に築造された唐の大明宮の太液池でも蓬莱島が築かれるなど、中国の皇帝庭園ではきわめて重要な要素であった。
神仙思想は日本には百済などを通じて飛鳥時代に伝えられ、飛鳥京都跡苑池遺構の南池の島などは、蓬莱をモチーフとしていた可能性がある。奈良・平安時代にも、園池の島が、蓬莱などの表現を意図したものであることも少なくなかったと見られ、平安後期の鳥羽離宮庭園の園池については「或いは蒼海を模して島を作り、或いは蓬山を写して巌を畳む」(『扶桑略記』)といった表現が見られる。
それ以降も園池の島を蓬莱と見立てる風潮が続き、江戸時代には多くの園池で蓬莱島が築かれることになる。蓬莱が海中の島であることに鑑み、橋を架けないことを原則としたが、回遊などの便宣上架橋されることも少なくなかった。また、マツを植えるのが通例で、蓬莱と亀の関係から、亀島との習合も見られる。
日本庭園(枯山水・石庭)の作り方 その1〜その4をお読みになっていない方はこちらからどうぞ。
2020.07.11十川日本庭園研究室です。
今回より自邸の日本庭園「三六九庭(みろくてい)」の施工についてご紹介をさせていただきます。広さは9坪と大きな庭ではございませんが、日本庭園の様々な要素を折り込んでいます。三六九庭は辰巳(南東)の方角に三六九という数で構成した蓬莱神仙(ほうらいしんせん)の世界観を山...
2020.08.08十川日本庭園研究室です。
今回はその1に続きまして、「蓬莱神仙思想の庭 三六九庭」の「方丈島」の製作過程からご紹介させていただきます。...
2020.08.28十川日本庭園研究室です。今回はその2に続きまして、「蓬莱神仙思想の庭 三六九庭」の「瀛州島(えいじゅうとう)」の製作過程をご紹介させていただきます。瀛州島は水琴窟(すいきんくつ)と筧(かけひ)を中心とし、茶庭の要素である蹲居(つくばい)形式となります。...
2020.09.11十川日本庭園研究室です。
今回は日本庭園(枯山水・石庭)の作り方その4として、苔貼り、そして創作垣(文字垣)の製作過程をご紹介させていただきます。皆様の今後の庭づくりの参考になれば幸いです。...
十川日本庭園研究室です。今回は日本庭園(枯山水・石庭)の作り方として、竹垣(網代袖垣と市松垣)の製作過程をご紹介させていただきます。その1からお付き合いいただきました皆様、誠にありがとうございます。また、今回が当研究室HPを初めての閲覧の方も、是非とも他の投稿もご覧ください。
なお、竹洗いについては実験を重ねた結果、現時点ではキッチンハイターが一番良い方法だと思います。この工法は竹を組んだ後に洗えるので無駄がなく、女性や子供でも簡単にできます。また、自宅をはじめ何度も使用したその後の経過で5年以上は持つようです。防腐剤と合わせてご使用することで長持ちします。
①網代袖垣の製作
用語集:網代垣 タップ又はクリックすると説明が読めます。
細い竹や割り竹を網代形に組んでつくった垣根で、別名は沼津垣(ぬまずがき)とも呼ばれます。耐久性に優れた機能と外観美を併せ持ち、茶室においては水屋の戸などに使われることがあります。
網代垣の竹を剥ぎます。
三枚三本飛ばしで網代を編みます。
手バールで調整した後ビス止めします。
長い部分を切って次に回します。
張り付け後に端を切りそろえて洗います。
押縁を付けます。
裏に単幹パイプを打ち込み、銅線で止めます。
立込み後に押縁の「州浜(すはま))」をかけます。
用語集:州浜(すはま) タップ又はクリックすると説明が読めます。
もとは河川からの土砂の堆積地にできる、入り組んだ浜辺のことを示し、それを図案化した意匠で文様化したもの。洲浜紋などがあります。屋根瓦の意匠にも使用されています
網代袖垣が完成しました。斜めに設置することで、庭で回った風が室内に吹き込みます。
②市松垣の製作
ガレージ側に杉皮の「あそび」を入れた市松垣を作ります。遠近法で竹の太さを変えるので、まずは太竹を市松に取り付けます。杉皮部分は透けた時のために色を塗ります。
仮置きしてバランスを見ます。
ビス止めした後、押縁をかけます。
中性洗剤で洗います。
次に中太竹を市松に張り付けます。 工程は前回同様です
最後に細竹を市松に張り付けます。こちらも工程は前回同様です。
正確に立込むため、裏にチョウツガイを付けます。
単幹パイプとステーで設置します。
屏風のように織り込むことで、室内に涼風が吹き込みます。 また、意図的に遠近法を使い、室内から遠く見える構造です。
竹垣の基本的な工法はこちらでも確認できます。
参考 竹垣作りのコツ
2020.03.04竹垣は、いかに技術が優れていても、竹が汚れていては見栄えが今一つ。逆に竹がきれいでも曲がりやゆがみが目立つとよく見えません。従って、如何に竹をきれいに洗うか、どこにどの材料を使うかで良し悪しが決まります。ここでは、基本的な事柄をいくつかあげますが、大切なのは毎回工法を変えることです。...
2020.03.15今回は「竹垣作りのコツ」の2回目です。竹の選び方、竹を割る押縁(おしぶち)や割竹(わりだけ)を中心に話をすすめます。とにかく「習うより慣れろ」です。皆様からのご要望により内容を更新いたしました。(2021年3月)竹を切る時期は、水を上げない11月から1月までとされています。...
2020.07.31十川日本庭園研究室です。今回は「竹藪をキレイにしよう計画」の「竹垣づくりのコツ」の3回目で、柱の立て方と加工の仕方について紹介いたします。「竹垣づくりのコツ」その1、その2は下記のリンクよりご覧ください。...
③あとがき
この仕事について三十余年、始めの五年間は植木の手入れもなく穴掘りだけで、その後は掃除と草取りばかりしてきました。中でもお茶会前の蹲踞(つくばい)が一番難儀で、使わない手水鉢はボウフラが湧き、常に海には落ち葉が溜まっていました。
だからこそ、この庭にたどり着いた気がします。清めは茶の湯を生業としている方は修行の一環としてとらえますが、我々業者は今後、管理について深く考えなければならないのではないでしょうか。現代社会において庭は3年もやれば誰でも作れます。しかし後世荒らさずに、本当に良いものを作ることがどれだけ困難かを理解していただきたいのです。
- 雪化粧をした三六九庭
私も「日暮れて道遠し」の未熟者ですが、本当に日本庭園が好きです。今後も皆様と共にお金で買えない価値を追求したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
- 庭が主役で自分は脇役
追補編(その6)の前編はこちらからどうぞ
2020.09.25十川日本庭園研究室です。
三六九庭の初回工事の様子を5話にわたってご紹介させていただきました。今回はその工事からしばらく経ったので、一部の竹垣交換についてご紹介致します。下記リンク(その1〜その5)の続編となります。...
この記事へのコメントはありません。