【小さな日本庭園】〜五坪からつくる小庭〜その2(施工前編)
十川日本庭園研究室です。
今回は、私が25歳の時に施工した犬走り周りに新たに枯山水を融合させて施工した記録を紹介いたします。当時は、若い時分でしたので、植栽や蹲踞(つくばい)を主体とした露地様式を希望していましたが、なかなか実現させることができませんでした。
この度お施主様のご要望により、植栽は一切行わない「一木一草」無い、石組と竹垣の蓬莱神仙思想に基づく枯山水様式として生まれ変わりました。新しいこの庭を、私は和琴庭(わきんてい)と名付けました。
参考 こちらは和琴庭の紹介記事です。和琴庭の施工内容ご紹介の前に、先ずは25年前当時の沓脱石(くつぬぎいし)や縁台および敷石の施工内容を簡潔に紹介します。25年前の古い写真ですので、見づらい点はご容赦願います。
①犬走り周りの敷石
当時の施工前の敷地で、御影石の切石が据えてありました。そこに自作の袖垣を取り付けます。
この沓脱石は1トン弱の重さがありましたが、養生を施し木板と丸太で大バールを使い設置しました。
若い頃から「やる気になれば何でもできる」という想いで、沓脱石などは、クレーンやユンボどころかチェーンブロックもな無く、コロだけで全て人力で搬入しました。トラックから滑り下ろした時に、鳥肌が立った感覚を今でも鮮明に覚えています。
型枠を組み、砕石を入れて輾圧します。
ワイヤーメッシュを入れて、ベースのコンクリートを均します。
石を貼ってゆきます。
縁台の沓石は、ダイヤモンドカッターでミゾを掘り据え付けます。
次に目地を入れますが、当時は目地ベラが無かったので、スポンジで石の際を洗い、深目地仕上げしか出来ませんでした。
②縁台周り・竹垣
縁台は、沓石にシリコンで設置します
雨落ち溝は瓦を使用しました。
袖垣は晒竹での鉄砲垣です。
ようやく一年後に、京都の目地ベラを手に入れて化粧目地が完成します。
毎晩寝ながら本を読み「どうやればこんな美しい目地の仕上げが出来るのか」と追求していたことが懐かしく思います。この企画が、若い次世代の方々の刺激になれば幸いです。
今回は少ないですが、こちらで終了です。次回は本編の和琴庭の施工記録についてご紹介いたします。下記リンクよりご覧ください。
小さな日本庭園〜五坪からつくる小庭〜 その3 水琴窟と石組みについて紹介しています。
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