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【小さな日本庭園】〜五坪からつくる小庭〜その3(水琴窟・石組編)

水琴窟と筧

十川日本庭園研究室です。
前回記事では施工前の現場についてご紹介いたしました。今回より小庭作りの工程を紹介します。これまで水琴窟その他の工法は、既に他記事で紹介してきましたので、今回はコツになるポイントを重視して掲載します。完成後の小庭については下記リンクより御覧ください。

参考 小庭の紹介記事です。

小庭作りにおける狭い場所での創意工夫は何とも言えない楽しさがありますから、皆様の今後の庭づくりの参考になれば幸いです。

①水琴窟製作のための下準備

施工前の写真です。

樹木の移植および下草類の撤去

雨落ち溝の瓦を撤去後に、排水枡の確認をします。

瓶を埋設する前に穴から水を注ぎ、予め水琴窟の音を確認します。その結果、穴の大きさや数を変えて音色を調節する場合もあります。当研究室では原則的には瓶を二つ使用して、異なる音色を発することで全体的に音に豊かさを与えるようにしています。

②瓶の埋設

水琴窟の詳しい製作手順を確認されたい方はこちらから。

関連記事 水琴窟と筧の作り方

穴を掘り、雨水用の排水枡に穴を開けます。

今回は、瓶どうしを塩ビ管で繋ぎます。 水が逆流しないように、排水枡側よりやや高い位置に穴を開けます。

昨年の台風の影響で、大量の瓦が近隣に余っていたので使用させてもらいました。

上部は、グリ石と雨落ち溝の余った小石を再利用します。

ホコリの多い地域なので、泥が溜まらないように地面より高めに設置します。

石組み後に水道管を仮設します。

③石組み

整地をします。昔は木杭を打ち込み、水盛りホースや水平器を使い水糸でレベルを出していました。しかし、作業に支障をきたすので現在はレーザーレベルを使います。

私は若い頃から、施工前の構想上図面を見ながらでは感覚が鈍ることが多いようでしたので、飛石、石組などは図面や頭で考えずに、仮置きしたイメージで決定します。

石を組みます。今回も蓬莱神仙思想に基づき「蓬莱島」「岩島」「舟石」を据え付けます。

関連記事 「蓬莱神仙思想の庭」の過去記事です。石組みについても詳しくご紹介しています。

石が大きくない場合は、セメントを使わず大きめのカマセ石と砕石で据え付けます。石組などは、図面や頭で考えずに、仮置きしたイメージで決定します。

岩島を据え付けます。

舟石を据え付けます。

④飛石

排水枡周りに土留めをします。

敷石風に飛石を仮置きします。コヤスケで石を割り、鋭利な角はビシャンをかけて、やわらかく見せます。

飛石は厚みがないので、砕石を打ち、川砂で据え付けた後、中に砕石とグリ石を突き込みます。

レーザーレベルで全体の高さを確認します。石の表面は歪んでいるので最終的には自分の目が一番正確です。

飛石据え付け後は、現場が赤土のため足の裏で飛石を汚さないように、全体に川砂を敷きます。

瓦は強度が解らないので、土留めに雨落ち溝で使っていたものを実験的に据え付けます。

水道管を仮設して、水琴窟の音を確認します。

今回はこちらで終了です。次回は竹垣製作工程のご紹介となります。下記リンクよりどうぞ。

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代表・作庭家紹介

十川日本庭園研究室 十川洋明

十川 洋明(トカワ ヨウメイ)

17歳で庭の世界へ飛び込み、その素晴らしさに魅了されました。造園会社数社で修行を積み、1996年に「作庭処 彌右エ門」(現 十川日本庭園研究室)として独立。以来、個人邸の作庭工事を手がけながら、古庭園に興味を持ち京都を初め全国の庭園を見てまわり研鑽を積んでいます。千葉県山武市在住。

 

<主な経歴>
1998年 重森三玲記念館庭園施工
1999年 靖國神社神池整備工事参加
2001年 靖國神社苑内常駐管理責任者
2004年 中国蘇州市に日本庭園施工

 

通常業務以外に日本庭園の古式工法の検証及び技術指導・講演も行っております。詳しく公開されることがなかった技術を、様々な方々にご提供できればと考えております。ご質問・ご相談等、お気軽にメールにてお問合せください。

 

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