十川日本庭園研究室です。竹林をきれいにしよう計画です。
今回は、竹林整備に伴い全て余った材料での工程をご紹介します。本来、倉庫で寝かせた材料を吟味するものですが、それではなかなか竹藪が綺麗にならないので、とにかく数をこなす事に重点を置きました。自邸の三六九庭同様に、捨てる材料で最高の作品を作ろうという試みです。
初めての試みなので、作業工程の途中に変更があることはご了承ください。
デザインは、江戸時代に都林泉名勝図絵(みやこりんせん めいしょうずえ)や築山庭造伝後編(つきやまていぞうでん こうへん)を著した籬島軒秋里(りとうけん あきさと)の石組園生八重垣伝(いわぐみそのう やえがきでん)からヒントを得たものです。
また、一般の方にもわかりやすく解説をしました。この企画が同業者や次世代の方々の刺激になり、今後の作業の参考になれば幸いです。
①下地作り
垂木を直角にビス止めします。
割竹を作ります。【竹垣づくりのコツその2参照】
- シノビは良く無い竹で
参考
2020.03.15今回は「竹垣作りのコツ」の2回目です。竹の選び方、竹を割る押縁(おしぶち)や割竹(わりだけ)を中心に話をすすめます。とにかく「習うより慣れろ」です。皆様からのご要望により内容を更新いたしました。(2021年3月)竹を切る時期は、水を上げない11月から1月までとされています。...
割竹を扇型に止めます。
- 膨らみ加減がポイント
垂木にミゾを切り、割竹を差し込みます。
ノミを使った例
- 道具を変えることが仕事の楽しみ
ドリルを使った例
- たわみ加減が厄介
開かないように縄やヒモで止めて、ドリルでもんでビス止めします。
- 開きすぎたので棕櫚縄で修正
扇型に割竹を針金で止めます。
- 針金は後で銅線に変えます
元の方には黒竹を入れることにしたので、割竹を取り外しました。
- デザイン変更
扇の元の方は、黒穂が縦になるので、垂木に穴を開けて細枝を取り付けます。細竹の歪みは最後に調整します。
- ゆがみ調整が今後の課題
②竹穂のかきつけ
山でしごいて葉を落とし、先を叩いた孟宗竹の枝を用意します。
- 世間では嫌われ物の竹の枝が・・・
表側の竹穂を先から並べて行き、元の上に穂先を重ねて、細く割ったシノビを針金で止めて行きます。
- 元に穂先を重ねて
- 曲がりは慎重に
竹穂の両端を切り落とします。
- シノビ調整が難しい
黒穂を扇状に並べます
- 10年以上前に買った黒穂を使用
枝と割竹で仮止めします。
- ゆがみ調整が最大の課題
裏側も穂を入れて調整します。
- 裏側も穂を足して見栄え良く
垂木の周りに竹穂を巻き付けて銅線で止めます
- ここからの修正が腕の見せ所
側面から見ると膨らみが解ります。
天端にも竹穂を巻き付けて、側面の穂を折り込みます
- 銅線の数が多いとキレイにおさまる
③化粧竹の取り付け
シノビの上から細い真竹の割竹を仮置きします。
- 仕上げの化粧竹は吟味して
孟宗竹の節部分を銅線で取り付けます。
- ビスが使えないので昔を思い出し
細竹の割竹を銅線で止めて行きます
④仕上げ
キッチンハイターで洗います。
- 洗うタイミングがポイント
防腐剤を塗り込み、最後に竹の歪みを押縁裏の見えない所に銅線で調整します。更にサンドペーパーで竹の肉部分の汚れを落として完成です。
- この後、ゆがみ調整が一番難儀
⑤立込み用台の製作
割竹を作ります。【大津垣の作り方(車止め)参照】
参考
2020.04.25十川日本庭園研究室です。
今回は車止め(大津垣)の作り方を紹介します。初心者にも分かり易く、写真を多く掲載しました。この大きさであれば、トラックが無くとも乗用車で材料を運ぶことができます。更に、ベースとなる木枠を防腐剤で長持ちさせ、竹を頻繁に交換することでいつもきれいに見えます。...
⑤完成
- 竹林整備の楽しみ
- 円形枝の調整のため、押縁裏に銅線があります
⑥その他の竹垣についての記事・動画
参考
金閣寺垣の作り方
参考
四ツ目垣の作り方
2020.03.04十川日本庭園研究室です。今回は四つ目垣の工法について簡潔にまとめましたので、ご参考にされてください。写真をよく見ていただくと説明にはないポイントもございます。質問等はメールにて受け付けております。...
参考
建仁寺垣の作り方
2020.03.04
今回は前回の四ツ目垣に続きまして、建仁寺垣(片面)の製作手順についてご紹介いたします。簡易な形ですが、いかに押縁を真っ直ぐ見せるかがポイントです。連日、多くの方に閲覧していただきましたので内容を増やしました。今後、皆様の作業の参考になれば幸いです。
①基本骨格の構成
地盤を測...
参考
桂垣の作り方
2020.06.12今回は桂垣の紹介です。裏側が建仁寺垣の基本的な事柄なので、ご存じの方も多いかと思います。桂穂垣の工法も様々で、裏のアンコと呼ばれる穂を縦にする方法や、穂の揃え方に個人的な好みがありますが、今回は一般的な工法をご紹介いたします。桂穂垣は、工法は複雑ですが四ツ目垣や建仁寺垣のようなシンプルな垣...
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