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水琴窟(すいきんくつ)の作り方 その2(自然浸透式)

水琴窟の作り方(その2)

十川日本庭園研究室です。
今回は、前回ご紹介した構造と異なる水琴窟の工法をご紹介いたします。
現場は地盤が山砂の盛土ですので、地中に吸い込む様式を採用しました。元来の様式ですのでご存じの方も多いと思います。尚、瓶(かめ)内の落ち葉や泥については、排水枡(はいすいます)の清掃業者に依頼すると排泄が容易だそうです。また、水の落ちる穴にヤスリがけや、ダイヤモンドカッターで切込みを入れると、勢い良く流れ落ちるので音の変化が楽しめます。私自身は、カメの周りにはグリ石を用いますが、瓦を使う例もあります。構造は簡単ですので、皆様もぜひ挑戦してみてください。

水琴窟の作り方は下記からもご覧いただけます。

埋設前準備

レベルを出し、穴を掘りグリ石を入れます。吸い込み式なので、深く掘ります。

吸い込み用の太い塩ビ管を切ります。

塩ビ管設置後に砕石を入れて水を打ち輾圧します。

瓶に陶器用(タイル用)のダイヤモンドドリルで穴を開けます。

カメの埋設

ワイヤーメッシュを入れてモルタルを打ち、固まりかけたらカメの接地面にシリコンを塗り、周りをモルタルで固めます。

穴をテープで塞ぎ、グリ石を入れますが、瓶との接点は少なくします。また、地盤が崩れやすい山砂なので外側に砕石を入れます。

水を打ち外回りを良く突き固めます。カメの周りを強く突きこむと破損しますのでご注意を

砂とセメントを混ぜて、水を加えない空練り(からねり)を均します。

水をサッとかけます。かけすぎに注意。

手水鉢の設置

手水鉢(ちょうずばち)を仮置きし、前石(まえいし)を設置します。今回は両側から使えるような設計です。

砕石で良く突き固めます。

向かい側にも前石を設置します。

土留めを兼ねて石を据え付けます。ゴミが溜まらないように手水鉢周りは囲いません。

手水鉢周りは土が入り込まないように、モルタルで高くします。

仕上げ・完成

筧(かけひ)を取り付け、水を落とします。

完成。

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代表・作庭家紹介

十川日本庭園研究室 十川洋明

十川 洋明(トカワ ヨウメイ)

17歳で庭の世界へ飛び込み、その素晴らしさに魅了されました。造園会社数社で修行を積み、1996年に「作庭処 彌右エ門」(現 十川日本庭園研究室)として独立。以来、個人邸の作庭工事を手がけながら、古庭園に興味を持ち京都を初め全国の庭園を見てまわり研鑽を積んでいます。千葉県山武市在住。

 

<主な経歴>
1998年 重森三玲記念館庭園施工
1999年 靖國神社神池整備工事参加
2001年 靖國神社苑内常駐管理責任者
2004年 中国蘇州市に日本庭園施工

 

通常業務以外に日本庭園の古式工法の検証及び技術指導・講演も行っております。詳しく公開されることがなかった技術を、様々な方々にご提供できればと考えております。ご質問・ご相談等、お気軽にメールにてお問合せください。

 

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