今回は「竹垣作りのコツ」の2回目です。竹の選び方、竹を割る押縁(おしぶち)や割竹(わりだけ)を中心に話をすすめます。とにかく「習うより慣れろ」です。皆様からのご要望により内容を更新いたしました。(2021年3月)
※前回の「竹垣作りのコツ その1」をご覧になっていない方は下記リンクよりご参照ください。
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本編は下記からとなります。
①竹の切り出し方
材料の竹を切る時期は、水を上げない11月から1月までとされていますが、これも一概には言えません。暖かい年は、時期がずれます。一般的には、霜が降りてから水揚げが止まるといわれています。
また、田んぼの際など水の近い場所は竹の色は綺麗ですが、長持ちしないようです。これも、加工の仕方により異なります。
尚、正月の門松や化粧飾りでは新子(にいこ)でもかまいませんが、竹垣は3~4年の竹を目安に切り出します。夏場の時期の良くないときには、5~6年目を切り出します。
年数の基準として、竹林内で新しい竹が出たら、根元に油性マジックでその年を書くか、色違いのテープ等で印をつけます。
②竹の割り方(建仁寺垣の押縁の例)
根元から切った竹は、下から三節切ります。
どこにどの竹を使うか選びます。
どの面が真っ直ぐか見通します。
足で押さえながら、真っ直ぐナタを入れることが重要です。
厚みのある方を上にして、足で押さえ先の左手を下に押し、手前の右手を上に上げます。
何度も確認しながら、割ってゆきます。
割った竹は、元から削ります。
参考
竹の割り方(金閣寺の製作の冒頭部分)は動画でも配信しております。ご参考にされてください。
【YouTube】 日本庭園の作り方#003 金閣寺垣の製作(詳細解説編)
③芽割り
笠竹(かさだけ)は、芽割り(めわり)と言って天端(てんば)にかぶせた時に真っ直ぐ見えるように割ります。また、内側が天端の押縁(おしぶち)にあたるので加工します。
側面をカンナで削ります。押縁とのあたり面を薄くすると綺麗に見えます。
④組子や枝折戸に使う竹割を使った例
写真のみとなりますが、ご理解できると思います。
⑤ナタや鋏を使った例
竹を半分に割り、幅を揃えて割ってゆきます。
鋏を入れ、幅の厚いほうを強く外に開きます。
続きの「竹垣づくりのコツ その3 」 はこちらからご覧ください。
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その他の竹垣の実践的且つ具体的な工法については下記よりご覧ください。
⑥その他の竹垣についての記事
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